この記事でわかること
- 厚生年金・健康保険それぞれの保険料上限額
- 最高等級での本人負担額(月額・年額)
- 月収がいくら以上になると上限に達するか
社会保険料には上限がある
会社員が毎月支払う社会保険料(健康保険・厚生年金)には、上限額が定められています。2025年度の情報をもとに執筆しています。月収が高くなるほど保険料も増えていきますが、ある水準を超えると保険料はそれ以上増えなくなります。
この上限は「標準報酬月額の最高等級」によって決まります。健康保険と厚生年金では等級の区分が異なるため、それぞれに別の上限が設定されています。高収入の方が「なぜ給与が上がっても社会保険料が変わらないのか」と疑問に感じる背景にはこの仕組みがあります。
上限の存在は、逆に言えば「一定以上の収入になると社保負担率が下がっていく」ことを意味します。所得が高いほど社会保険料の実質的な負担率(収入に対する割合)が低下していく構造は、社保制度の特徴のひとつです。
厚生年金の上限:32等級(標準報酬650,000円)
厚生年金の標準報酬月額は1等級(88,000円)から32等級(650,000円)までの32段階です。月収が概ね635,000円以上になると32等級(標準報酬月額650,000円)に達し、それ以上の収入があっても厚生年金の保険料は増えません。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 最高等級(32等級)標準報酬月額 | 650,000円 |
| 厚生年金 本人負担(月) | 59,475円 |
| 厚生年金 本人負担(年) | 713,700円 |
| 厚生年金 会社負担(月・同額) | 59,475円 |
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は標準報酬月額の決定時期や保険料率の改定により異なります。
月収65万円を超えても、厚生年金保険料は月59,475円(本人負担)が上限となります。高収入者にとっては、それ以上の月収増加分に対する厚生年金の実質負担率は0%になるという見方もできます。
健康保険の上限:50等級(標準報酬1,390,000円)
健康保険(協会けんぽ)の標準報酬月額は1等級(58,000円)から50等級(1,390,000円)までの50段階です。厚生年金よりも上限が高く設定されています。
| 項目 | 金額(東京都・40歳未満) |
|---|---|
| 最高等級(50等級)標準報酬月額 | 1,390,000円 |
| 健康保険 本人負担(月) | 69,361円 |
| 健康保険 本人負担(年) | 832,332円 |
| 上限に達する月収の目安 | 概ね135万円以上 |
※上記はあくまで目安・参考値です。都道府県や加入する健保組合によって料率・等級が異なります。
月収が135万円を超えると健康保険料も上限に達します。それ以上の月収増加分に対しては健康保険料も増加しなくなります。
月収別の社会保険料合計と上限の推移
月収が増えるにつれて社会保険料がどう変化するか、主要な水準で比較します(東京都・協会けんぽ・40歳未満)。
| 月収の目安 | 厚生年金(本人) | 健康保険(本人) | 合計(本人) |
|---|---|---|---|
| 30万円(19等級・300,000円) | 27,450円 | 14,970円 | 42,420円 |
| 50万円(27等級・500,000円) | 45,750円 | 24,950円 | 70,700円 |
| 65万円(32等級・650,000円) | 59,475円(上限) | 32,435円 | 91,910円 |
| 80万円(37等級・800,000円) | 59,475円(上限) | 39,920円 | 99,395円 |
| 100万円(43等級・1,000,000円) | 59,475円(上限) | 49,900円 | 109,375円 |
| 139万円以上(50等級・1,390,000円) | 59,475円(上限) | 69,361円(上限) | 128,836円(上限) |
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や都道府県料率によって異なります。
月収139万円以上になると、社会保険料の合計(本人分)は128,836円で頭打ちになります。年間で約155万円(本人分)が上限です。会社負担分も同額程度かかるため、雇用主側のコストも相当な規模になります。
自分の標準報酬月額・等級・保険料の内訳を確認するには、社保ジャッジをご活用ください。月収を入力するだけで等級と保険料の目安を計算できます。
上限を超えても将来の年金は増えない
厚生年金の保険料に上限がある一方で、将来受け取る年金額(老齢厚生年金)も標準報酬月額が上限(650,000円)を超えた部分は反映されません。つまり月収が65万円を超えて厚生年金保険料が上限に達すると、それ以上保険料は増えない代わりに、年金の積み上がりも増えなくなります。
高収入の方が「iDeCoや個人年金で将来の備えを補う」ことを検討するケースが多いのは、厚生年金の上限という制約が背景にあります。公的年金だけに頼らず、自助努力の資産形成を組み合わせることが重要です。
賞与の社会保険料にも上限がある
月給だけでなく賞与(ボーナス)に対する社会保険料にも上限があります。健康保険の標準賞与額上限は年間573万円(1回あたり上限なし・年累計)、厚生年金の標準賞与額上限は1回あたり150万円です。賞与が高額な方はこの上限も把握しておきましょう。
まとめ
- 厚生年金の保険料は月収約65万円超で上限(本人月59,475円)に達する
- 健康保険は月収約135万円超で上限(東京・本人月69,361円)に達する
- 上限に達すると社保負担率は収入増加とともに実質的に低下する
社会保険料の上限を知ることで、高収入になった際の手取りの変化を正確に予測できるようになります。昇給・転職・フリーランスへの転向を検討する際にも、この知識は判断材料として役立ちます。
月収と都道府県を入力するだけで保険料の内訳と等級を確認できます。上限等級付近の保険料シミュレーションにもご活用ください。
※本記事の計算結果はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入している健康保険組合や都道府県料率、標準報酬月額の決定時期により異なります。本記事は税務・法律上のアドバイスを提供するものではありません。個別の判断は専門家にご相談ください。

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