この記事でわかること
- 現物給与とは何か・どんなものが対象になるか
- 社宅・食事補助が標準報酬月額に与える影響
- 現物給与が社保料に影響するケースと影響しないケース
現物給与とは
現物給与とは、賃金の一部または全部として金銭以外の形で提供されるものを指します。社宅(住宅の提供)、食事(社員食堂の補助)、制服、定期券など、会社から直接現物やサービスの形で受け取る報酬です。
現物給与は社会保険料の計算において「報酬」に含まれる場合があります。つまり、現金の給与だけでなく現物で受け取っている価値も含めて標準報酬月額が計算されるケースがあります。
ただし、すべての現物給与が社保料に影響するわけではありません。制服や事務用品など業務上の必要性が高いものは報酬に含まれません。どのようなものが含まれるかは厚生労働省の通達に基づいて判断されます。
社宅の場合:賃貸料相当額が報酬に含まれることがある
会社が従業員に社宅を提供する場合、その家賃相当額が現物給与として報酬に含まれることがあります。ただし、従業員が一定以上の家賃を自己負担している場合は報酬に含まれない扱いになります。
具体的には、厚生労働省の規定する「賃貸料相当額」の50%以上を従業員が自己負担している場合は、現物給与として報酬に算入されません。逆に無償または50%未満の自己負担で社宅を使用している場合は、その差額分が現物給与として報酬に加算されます。
| 社宅の家賃相当額(月) | 従業員の自己負担額 | 報酬への算入 | 社保への影響 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 5万円以上 | なし | なし |
| 10万円 | 3万円(50%未満) | 差額7万円が報酬に加算 | 等級が上がる可能性あり |
| 10万円 | 0円(無償) | 10万円が報酬に加算 | 等級が大きく上がる可能性あり |
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の算入額は社宅の種類・規模・地域ごとの通達に基づきます。
食事補助・社員食堂の場合
会社が食事を提供する場合も現物給与として扱われることがあります。社員食堂での食事や、食事代の補助が含まれます。ただし以下の2つの条件を両方満たす場合は報酬に算入されません。
- 従業員が食事の価額の3分の2以上を自己負担していること
- 1ヶ月あたりの会社負担額が3,500円(税抜)以下であること
たとえば1食500円の社員食堂で会社が300円補助・従業員が200円負担している場合、従業員負担は40%(3分の2未満)のため現物給与として報酬に含まれます。一方、1食1,000円で会社が200円補助・従業員が800円負担している場合は、従業員負担率80%(3分の2以上)かつ月額補助が3,500円以下であれば報酬に算入されません。
報酬に含まれない現物給与の例
逆に、社保料に影響しない(報酬に含まれない)現物給与の例は以下のとおりです。
- 業務上必要な制服・作業服
- 業務に使用する携帯電話・PCなど
- 健康診断・人間ドックの費用(福利厚生として一般的に提供されるもの)
- 出張旅費・交通費精算(実費弁済の性格が強いもの)
- 慶弔見舞金・永年勤続表彰品(社会通念上相当な範囲内のもの)
これらは従業員の私的利益のためではなく業務目的で提供されるため、報酬には含まれません。
現物給与で等級が変わるケース
現物給与が報酬に含まれた場合、その金額が加算されて標準報酬月額が上がり、社保料が増加することがあります。特に社宅を無償または低額で使用している場合は注意が必要です。
たとえば月収30万円の人が家賃10万円の社宅を無償で使用している場合、報酬月額は40万円として計算されます。月収30万円の等級(19等級・30万円)と40万円の等級(24等級・41万円)では、毎月の社保料に1〜1.5万円程度の差が生じることがあります。
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まとめ
- 社宅・食事補助などの現物給与は、条件次第で社保料の基準となる報酬に含まれる
- 社宅は従業員が家賃相当額の50%以上を負担すれば報酬に含まれない
- 社員食堂は従業員負担が3分の2以上・会社負担が月3,500円以下なら報酬に算入されない
- 制服・業務用PC・慶弔見舞金など業務目的の現物は報酬に含まれない
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本記事は情報提供を目的としており、税務・法律上のアドバイスではありません。正確な現物給与の扱いは社会保険労務士や加入先の保険者にご確認ください。

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