「育休を取ると社会保険料が免除されるって聞いたけど、本当?」「どうやって手続きするの?」——育児休業を控えた方やパートナーが育休を検討しているご家庭にとって、社会保険料の免除制度は家計に直結する大きなテーマですよね。
2022年10月の法改正で免除のルールが大きく変わり、「知らなかった」では損をしてしまうケースも出ています。この記事では、2025年度現在の最新情報をもとに、免除の条件・手続き・具体的な免除額まで丁寧に解説します。
この記事でわかること
- 育休中に社会保険料が免除される条件と2022年改正後の注意点(14日ルール・賞与の月末要件)
- 月収別の免除額シミュレーション(月収25万・35万・50万円の具体例)
- 手続きの流れと、免除期間中の年金・健康保険への影響
育休中の社会保険料免除とは?制度の基本をおさらい
このセクションでは、そもそも「何が」「どのくらい」免除されるのか、制度の全体像を押さえます。
免除される保険料の範囲
育児休業中は、健康保険料と厚生年金保険料の両方が、被保険者(本人)と事業主の双方とも全額免除されます。根拠法令は健康保険法第159条・厚生年金保険法第81条の2です。
つまり、お給料から天引きされている社会保険料がゼロになるだけでなく、会社が負担している同額分もゼロになります。会社にとっても雇用コストの軽減につながるため、「育休を取らせたいけどコストが…」という懸念が和らぐ仕組みになっています。
対象者と期間
対象は男女を問わず、育児・介護休業法に基づく育児休業を取得している被保険者です。原則として子が1歳になるまでが対象期間ですが、保育所に入れないなどの事情がある場合は最長2歳まで延長できます。
なお、産前産後休業中の保険料免除(産前42日・産後56日)は別制度ですので、育休免除とは区別して理解しておきましょう。
2022年10月改正で変わった「免除の条件」を正しく理解する
このセクションでは、2022年10月の法改正で厳格化された免除要件を詳しく解説します。特に男性の短期育休を検討している方は必見です。
月次保険料の免除要件——「14日ルール」とは
改正後の月次保険料の免除要件は、大きく2パターンに分かれます。
- パターン①(月をまたぐ場合):育休の開始日と終了日の翌日が異なる月にまたがる場合は、日数に関係なく開始月の保険料が免除されます。
- パターン②(同一月内で完結する場合):開始日と終了日の翌日が同じ月にある場合は、その月に14日以上の育児休業を取得していることが条件です。
改正前は、月内に1日でも育休があれば免除されていました。しかし「月末1日だけ育休を取って保険料を丸ごと免除する」といった利用が問題視され、14日要件が追加された経緯があります。
例えば月収50万円の方が月内13日の育休を取得した場合、月約70,700円の免除がまるごと受けられないことになります。産後パパ育休などで短期取得を予定している方は、「14日の壁」を強く意識してスケジュールを組みましょう。
賞与に係る保険料の免除要件——「月末日ルール」
賞与(ボーナス)にかかる保険料の免除条件も改正で変わりました。
改正後は、賞与が支給される月の末日を含み、かつ連続1か月超の育児休業を取得している場合に限り、賞与分の保険料が免除されます。改正前は「賞与支給月に1日でも育休があればOK」でしたが、現在は月末日をまたがない短期取得では免除されません。
標準賞与額50万円の場合、本人負担だけでも厚生年金45,750円+健康保険24,950円=約70,700円が免除対象になり得ます。育休のスケジュールを会社と相談する際は、賞与支給月の末日をまたぐかどうかを必ず確認してください。
月収別シミュレーション——育休で実際にいくら免除される?
このセクションでは、月収25万・35万・50万円の3パターンで、免除される金額の目安を具体的に示します。社保ジャッジで実際に試算した結果を表にまとめました。
| 項目 | 月収25万円 | 月収35万円 | 月収50万円 |
|---|---|---|---|
| 標準報酬月額(等級) | 260,000円(17等級) | 360,000円(22等級) | 500,000円(27等級) |
| 厚生年金(本人負担9.15%) | 23,790円 | 32,940円 | 45,750円 |
| 健康保険(東京都・本人負担4.99%) | 12,974円 | 17,964円 | 24,950円 |
| 月額免除合計(本人) | 36,764円 | 50,904円 | 70,700円 |
| 育休6か月取得の免除目安(本人) | 約22.1万円 | 約30.5万円 | 約42.4万円 |
| 育休1年取得の免除目安(本人) | 約44.1万円 | 約61.1万円 | 約84.8万円 |
| 労使合計(月額) | 73,528円 | 101,808円 | 141,400円 |
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。
※40〜64歳の方は介護保険料(標準報酬月額×0.80%)も追加で免除されます。例えば月収35万円なら月2,880円がさらに上乗せされます。
月収50万円で賞与50万円の支給月末日をまたぐ育休を取得した場合、その月だけで本人負担の免除額は月次分70,700円+賞与分70,700円=約141,400円にもなります。金額のインパクトは想像以上に大きいですよね。
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手続きの流れ——誰が・いつ・どこに申請する?
このセクションでは、免除を受けるために必要な手続きのステップを時系列でわかりやすく整理します。
手続きの主体は「事業主(会社)」
社会保険料の免除申請は、被保険者本人ではなく事業主が行います。本人がやるべきことは「育休を取得する旨を会社に申し出ること」と「必要に応じて会社の人事・総務に免除制度を確認すること」です。
申請の流れ(ステップ)
- 育児休業の開始:育児・介護休業法に基づき育休を開始します。
- 「育児休業等取得者申出書(新規)」を提出:事業主が管轄の年金事務所(協会けんぽ加入者)、または各健康保険組合に提出します。提出に法定の期限はありませんが、保険料の納付猶予との関係から育休開始後できるだけ早く申請するのが推奨されています。
- 育休期間中:保険料の徴収が停止されます。この間も被保険者資格は継続しているため、健康保険証はそのまま使えます。
- 育休終了時:事業主が「育児休業等取得者終了届」を提出します。延長した場合は延長の申出書も必要です。
なお、育休が延長になる場合(子が1歳→1歳6か月→2歳)は、その都度延長の申出書を提出する必要があります。「1回出したから終わり」ではない点にご注意ください。
申請先の違い
| 加入している健康保険 | 健康保険料の免除申請先 | 厚生年金保険料の免除申請先 |
|---|---|---|
| 協会けんぽ | 所轄の年金事務所 | 所轄の年金事務所 |
| 組合健保 | 各健康保険組合 | 所轄の年金事務所 |
組合健保に加入している場合は、健康保険と厚生年金で申請先が分かれる場合がありますので、会社の担当部署に事前確認しておくとスムーズです。
免除期間中の年金・健康保険への影響——将来損しない?
このセクションでは、「保険料を払わなかったら将来の年金が減るのでは?」という不安に答えます。
将来の年金額への影響はゼロ
結論からいうと、育休中の免除によって将来の老齢厚生年金が減ることはありません。厚生年金保険法第81条の2第2項により、免除期間中も「保険料を納付したもの」として年金額の計算に算入されます。
しかも、年金額の計算には育休前の(高い)標準報酬月額がそのまま使われるため、免除期間中に報酬がゼロであっても不利益は生じません。これは非常に手厚い保護といえます。
健康保険の給付も通常どおり
免除期間中も被保険者資格は継続しているため、病院にかかった際の療養の給付(3割負担での受診)はこれまでどおり受けられます。扶養家族の保険証もそのまま有効です。
育休明けの等級改定——「養育期間特例」も活用を
育休から復帰して時短勤務に切り替えると報酬が下がり、標準報酬月額の等級が下がるケースが多くあります。このとき「育休終了時改定(随時改定の特例)」により、実態に合った等級に速やかに変更できます。
さらに、「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」(3歳未満の子の養育期間特例)を届け出れば、年金額の計算上は育休前の高い標準報酬月額で計算してもらえます。つまり、時短で保険料負担は軽くなりつつ、将来年金は減らないという二重のメリットがあるわけです。
よくある疑問Q&A
このセクションでは、育休中の社会保険料免除について読者からよく寄せられる疑問にお答えします。
Q1. 育児休業給付金と社会保険料免除は別物?
はい、別制度です。育児休業給付金は雇用保険から支給されるもので、社会保険料免除は健康保険・厚生年金保険の制度です。両方を同時に受けられるため、育休中の経済的な支えとして非常に大きな役割を果たします。
Q2. パパ育休(産後パパ育休)でも免除される?
はい、産後パパ育休(出生時育児休業)も育児・介護休業法に基づく育休のため免除対象です。ただし、同一月内で完結する取得の場合は14日以上取得する必要がある点に注意してください。2週間未満では免除ゼロになってしまいます。
Q3. 免除の手続きを会社が忘れていたらどうなる?
法律上、申請に期限の定めはないため、後からでも申請は可能です。ただし、すでに納付済みの保険料を遡って返還する手続きが必要になり、時間がかかることがあります。育休に入ったらすぐに会社の人事・総務に「免除申請は出してもらえましたか?」と確認するのがおすすめです。
まとめ——育休中の社会保険料免除、3つのポイント
最後に、この記事の要点を3つに絞って振り返ります。
- 育休中は健康保険料・厚生年金保険料が労使双方とも全額免除され、将来の年金額にも不利益はない。月収35万円なら本人負担だけで月約5万円、1年で約61万円の免除効果。
- 2022年10月改正で免除要件が厳格化。同一月内完結の育休は14日以上が必須、賞与月は月末日をまたぐ連続1か月超が条件。短期育休を検討する男性は特に要注意。
- 手続きは事業主が行うが、本人も「申請が出ているか」を確認することが大切。育休明けの養育期間特例も忘れずに届け出を。
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本記事は2025年度現在の情報をもとに執筆しています。本記事は情報提供を目的としており、税務・法律上のアドバイスではありません。正確な保険料は加入先の保険者または会社の担当部署にご確認ください。

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