「iDeCoを始めたら社会保険料も安くなるの?」――これは、iDeCoを検討する方からとても多く寄せられる疑問です。結論から言うと、iDeCoの掛金で社会保険料が下がることはありません。ただし、所得税・住民税の節税効果は非常に大きく、正しく理解すれば「やらない理由がない」と思えるほどの制度です。
この記事では、社会保険料の仕組みとiDeCoの節税効果を試算付きでわかりやすく解説します。2025年度現在の情報をもとに執筆しています。
この記事でわかること
- iDeCoの掛金が社会保険料に影響しない理由
- 月収別の具体的な節税効果(所得税・住民税)の試算
- 社会保険料が下がる「選択制DC」との違いと使い分け
iDeCoで社会保険料は下がらない|その仕組みを解説
このセクションでは、なぜiDeCoの掛金が社会保険料に影響しないのかを、標準報酬月額の決まり方から解説します。
標準報酬月額の算定にiDeCoは無関係
社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は、「標準報酬月額」をベースに計算されます。この標準報酬月額は、毎年4〜6月に支払われた「税引前の現金報酬(基本給+残業代+通勤手当など)」の平均額をもとに決まります。
ここで重要なのは、iDeCoの掛金は「自分の口座から拠出するお金」であって、給与から差し引かれる社会保険料控除とは仕組みがまったく異なるということです。iDeCoの掛金を月2.3万円払っていようが、報酬月額には1円も反映されません。
つまり、iDeCoを始めても、社会保険料は1円も下がらないのです。これは月収がいくらであっても同じです。
iDeCoで下がるのは「所得税」と「住民税」
では、iDeCoの節税効果はどこに現れるのでしょうか。答えは「所得税」と「住民税」です。iDeCoの掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります。
たとえば月2.3万円(年27.6万円)を拠出する場合、その27.6万円がまるごと課税所得から差し引かれます。年末調整か確定申告で控除を受ける形になるので、会社員の方でも手続きは比較的シンプルです。
この「税金は下がるけど社会保険料は下がらない」という区別は、手取り額を正確に把握するうえでとても大切なポイントですよね。
【月収別】iDeCoの節税効果を試算してみた
このセクションでは、月収25万円・35万円・50万円の3パターンで、iDeCoを始めた場合の社会保険料と節税効果を具体的に試算します。実際に社保ジャッジの試算ツールも使いながら確認してみました。
月収25万円の場合
月収25万円の会社員(企業年金なし)がiDeCoに月2.3万円を拠出した場合を見てみましょう。標準報酬月額は260,000円(第17等級)です。
| 項目 | 金額(月額) | iDeCo拠出後の変化 |
|---|---|---|
| 厚生年金保険料(本人負担9.15%) | 23,790円 | 変動なし |
| 健康保険料(東京都・本人負担4.99%) | 12,974円 | 変動なし |
| 社会保険料 合計 | 36,764円 | 変動ゼロ |
| 所得税の節税効果(税率10%想定) | 年27.6万円 × 10% = 年2.76万円 | |
| 住民税の節税効果(税率10%) | 年27.6万円 × 10% = 年2.76万円 | |
| 節税効果 合計 | 年約5.52万円(月換算 約4,600円) | |
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。
社会保険料は1円も変わりませんが、税金の節約だけで月4,600円ほど手取りが実質的に増える計算です。年収がそこまで高くなくても、iDeCoの節税効果はしっかり感じられますよね。
月収35万円の場合
月収35万円になると、所得税の税率が20%に上がる方も多くなります。標準報酬月額は360,000円(第22等級)です。
| 項目 | 金額(月額) | iDeCo拠出後の変化 |
|---|---|---|
| 厚生年金保険料(本人負担9.15%) | 32,940円 | 変動なし |
| 健康保険料(東京都・本人負担4.99%) | 17,964円 | 変動なし |
| 社会保険料 合計 | 50,904円 | 変動ゼロ |
| 所得税の節税効果(税率20%想定) | 年27.6万円 × 20% = 年5.52万円 | |
| 住民税の節税効果(税率10%) | 年27.6万円 × 10% = 年2.76万円 | |
| 節税効果 合計 | 年約8.28万円(月換算 約6,900円) | |
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。
税率が上がるほどiDeCoの恩恵は大きくなります。月収35万円クラスでは年間8万円超の節税になり、20年間続ければ累計約165.6万円の節税効果です。運用益の非課税メリットを加えれば、さらに大きなリターンが期待できます。
月収50万円の場合
月収50万円の場合も確認してみましょう。標準報酬月額は500,000円(第27等級)です。
| 項目 | 金額(月額) | iDeCo拠出後の変化 |
|---|---|---|
| 厚生年金保険料(本人負担9.15%) | 45,750円 | 変動なし |
| 健康保険料(東京都・本人負担4.99%) | 24,950円 | 変動なし |
| 社会保険料 合計 | 70,700円 | 変動ゼロ |
| 所得税の節税効果(税率20%想定) | 年27.6万円 × 20% = 年5.52万円 | |
| 住民税の節税効果(税率10%) | 年27.6万円 × 10% = 年2.76万円 | |
| 節税効果 合計 | 年約8.28万円(月換算 約6,900円) | |
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。
月収50万円でも、iDeCoの掛金上限が月2.3万円のため、節税額は月収35万円(税率20%)のケースと同じ年約8.28万円になります。社会保険料が高いほど「少しでも下がってほしい」という気持ちになりますが、残念ながらiDeCoではその部分は変わりません。
iDeCoの節税効果を確認できたところで、今の社会保険料がそもそも正しいのか気になる方もいるかもしれません。まずは自分の等級と保険料をチェックしてみるのがおすすめです。
また、節税で浮いたお金をさらに効率よく運用したいと考える方もいるでしょう。
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社会保険料が下がる「選択制DC」との違い
このセクションでは、iDeCoと混同されやすい「選択制DC(企業型確定拠出年金の選択制)」について、社会保険料への影響の違いを整理します。
選択制DCなら社会保険料が下がる仕組み
「選択制DC」とは、給与の一部を企業型DCの掛金として切り出す制度です。たとえば月収35万円の方が月2万円を選択制DCに回すと、報酬月額が33万円扱いになります。
この場合、標準報酬月額が360,000円(第22等級)から340,000円(第21等級)に下がり、社会保険料は月約2,828円(年約33,936円)削減されます。iDeCoにはない社会保険料削減効果がある点が大きな違いです。
ただし、将来の年金受給額も減る
標準報酬月額が下がるということは、将来もらえる厚生年金の額も連動して減少します。これは見落としがちなトレードオフです。
一方、iDeCoは給与額がそのまま維持されるため、将来の厚生年金が減るリスクはありません。「社会保険料は下がらないけれど、年金も減らない」というのは、むしろiDeCoのメリットとも言えます。
| 比較ポイント | iDeCo | 選択制DC |
|---|---|---|
| 社会保険料の削減 | なし | あり(等級が下がる場合) |
| 所得税・住民税の節税 | あり(全額所得控除) | あり(報酬減少による) |
| 将来の厚生年金への影響 | なし | あり(受給額が減少) |
| 導入方法 | 個人で加入 | 会社の制度として導入が必要 |
自分の会社に選択制DCがあるかどうかで取れる戦略が変わります。どちらが有利かは個別の状況次第なので、まずは現在の社会保険料と等級を正確に把握しておくことが大切です。
iDeCoの3大税制優遇を改めて整理
このセクションでは、社会保険料以外のiDeCoの節税メリットを全体像として整理します。「社会保険料は下がらないなら意味ないのでは?」と感じた方にこそ読んでいただきたい内容です。
①拠出時:掛金が全額所得控除
先ほど試算したとおり、掛金の全額が所得控除の対象です。会社員(企業年金なし)の場合、月2.3万円・年27.6万円が上限ですが、自営業者は月6.8万円・年81.6万円まで拠出できます。厚生労働省の2025年度資料によると、2024年12月の制度改正で企業型DC加入者の掛金上限にも変更がありましたので、最新の上限額を確認しておきましょう。
②運用時:運用益が非課税
通常の投資では、運用益に約20.315%の税金がかかります。しかしiDeCoでは運用中の利益がすべて非課税です。20年・30年という長期で運用すると、この非課税の複利効果は非常に大きなものになります。
たとえば年利3%で月2.3万円を20年間積み立てた場合、元本552万円に対して運用益は約200万円。通常なら約40万円の税金がかかるところ、iDeCoならゼロです。
③受取時:退職所得控除・公的年金等控除が適用
受取時にも税制優遇があります。一時金として受け取れば退職所得控除、年金として受け取れば公的年金等控除が適用されます。完全に非課税というわけではありませんが、通常の所得よりも大幅に税負担が軽減されます。
社会保険料こそ下がりませんが、「拠出時・運用時・受取時」の三拍子で税制優遇が受けられるのはiDeCoならではの強みです。
まとめ|iDeCoの正しい節税効果を把握しよう
最後に、この記事のポイントを3つに絞って振り返ります。
- iDeCoで社会保険料は下がらない:標準報酬月額の算定にiDeCo掛金は含まれないため、保険料は1円も変わりません
- 所得税・住民税の節税効果は大きい:月2.3万円の拠出で年最大約8.28万円の節税。20年間で累計約165万円にもなります
- 選択制DCとは別の制度:社会保険料を下げたい場合は選択制DCが有効ですが、将来の年金減額というトレードオフがあります
「自分の月収だと社会保険料はいくらなのか」「iDeCoの節税で手取りはどう変わるのか」が気になった方は、まずは現在の保険料を正確に把握することから始めてみてください。
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本記事は情報提供を目的としており、税務・法律上のアドバイスではありません。正確な保険料は加入先の保険者または会社の担当部署にご確認ください。2025年度現在の情報をもとに執筆しています。

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