この記事でわかること
- 企業型確定拠出年金(企業型DC)の節税効果の仕組み
- iDeCoとの主な違いと使い分けのポイント
- 社会保険料への影響はなぜないのか(選択制DCの例外も解説)
企業型DC(企業型確定拠出年金)とは
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、会社が毎月一定の掛け金を拠出し、従業員が自分で運用先を選びながら老後資金を積み立てる制度です。2025年現在、大企業を中心に多くの会社で導入されています。
従来の確定給付型の退職金制度と異なり、受け取れる金額は運用成績によって変わります。元本確保型(定期預金など)から株式型の投資信託まで、運用先は複数の選択肢から選ぶことができます。リスクを抑えたい人は元本確保型を中心に、積極的に増やしたい人は株式型を多めにといった配分調整が可能です。
企業型DCで積み立てた資産は原則として60歳以降に受け取ります。受け取り方は一時金(退職所得として課税)または年金(雑所得として課税)を選択でき、どちらを選ぶかによって税負担が変わります。
企業型DCの節税効果
企業型DCには大きく2つの税制優遇があります。1つ目は運用益の非課税です。通常の金融口座で株式や投資信託から得た利益には約20.315%の税金がかかりますが、企業型DC口座内では運用益が非課税で再投資されます。長期間にわたる複利効果を税引き前で享受できる点が大きなメリットです。
2つ目は、会社が拠出する掛け金が従業員の給与として課税されない点です。会社が毎月掛け金を出してくれているのに、その分は給与扱いにならないため、所得税・住民税の対象になりません。実質的に税引き前のお金を老後資金に回せる仕組みです。
| 年収 | 企業型DC掛け金(月) | 年間の所得税・住民税 軽減額(目安) |
|---|---|---|
| 400万円 | 1万円 | 約2.4万円 |
| 500万円 | 2万円 | 約6.0万円 |
| 600万円 | 3万円 | 約9.6万円 |
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の節税額は年収・各種控除の状況によって異なります。
また、「マッチング拠出」という仕組みを採用している会社では、従業員が会社の掛け金に上乗せして自己負担で追加拠出できます。この自己負担分は全額が小規模企業共済等掛金控除(所得控除)の対象となるため、さらなる節税効果が得られます。
企業型DCは社会保険料を下げられない
節税効果が大きい企業型DCですが、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は原則として下がりません。社会保険料は「標準報酬月額」という給与を等級に当てはめた金額をもとに計算されます。会社が拠出する企業型DCの掛け金は従業員の報酬ではないため、標準報酬月額の計算に含まれないのです。
ただし、「選択制DC」と呼ばれる制度を採用している会社は例外です。選択制DCでは、従業員が自分の給与の一部をDC掛け金として振り替えることができます。この場合は実質的に給与が下がるため、標準報酬月額が下がり、社会保険料が減少することがあります。自社が選択制DCを導入しているかは人事・総務部門に確認してください。
iDeCoについても同様に、社会保険料は変わりません。節税(所得税・住民税)と社保節約は別々の軸で考える必要があります。
iDeCoとの違いを整理する
企業型DCとiDeCoはよく混同されますが、いくつかの重要な違いがあります。
| 比較項目 | 企業型DC | iDeCo |
|---|---|---|
| 掛け金の出元 | 会社(マッチング拠出は本人も可) | 本人 |
| 月の上限額 | 最大5.5万円(他に企業年金なし) | 最大2.3万円(会社員・企業年金なし) |
| 所得控除 | 会社分は対象外。マッチング拠出分は対象 | 掛け金全額が所得控除 |
| 社保への影響 | 原則なし(選択制DCは例外) | なし |
| 加入条件 | 会社が制度を導入していること | 国民年金被保険者であること |
iDeCoは掛け金を全額自分で出す代わりに、全額が所得控除になります。企業型DCは会社が掛け金を負担してくれる点が最大のメリットです。両者は排他的ではなく、2022年10月の法改正により条件付きで併用できるようになりました。
企業型DCとiDeCoの併用(2022年10月改正)
2022年10月から、企業型DCに加入している会社員もiDeCoを利用できるようになりました。それ以前は企業型DC加入者のiDeCo加入には制約が多く、実質的に難しい状況でしたが、改正によって門戸が広がりました。
ただし合計の拠出額には上限があります。企業型DCの掛け金とiDeCoの掛け金を合算した額が月5.5万円(他に確定給付型企業年金などがある場合は2.75万円)以内でなければなりません。iDeCo単体では月2万円(他に企業年金がある場合は1.2万円)が上限です。自社のDC掛け金額を確認したうえで、iDeCoの拠出可能額を計算してみましょう。
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まとめ
- 企業型DCは運用益非課税・会社掛け金が給与課税されない2つの節税効果がある
- 社会保険料は原則として下がらない(選択制DCは例外)
- iDeCoとの違いは掛け金の出元と所得控除の扱い。併用も2022年10月から可能になった
- マッチング拠出を活用すると所得控除でさらに節税できる
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本記事は情報提供を目的としており、税務・法律上のアドバイスではありません。正確な内容は加入している企業型DCの規約、または税務署・社会保険労務士にご確認ください。

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