この記事でわかること
- 会社員とフリーランスの社会保険料の構造的な違い
- 年収600万円を例にした保険料の比較試算
- フリーランス転向前に知っておくべき注意点
フリーランスになると社保の仕組みが根本から変わる
会社員からフリーランスへの転向を考えたとき、多くの人が意識するのは「収入の変化」です。しかし見落とされがちなのが「社会保険料の大幅な変化」です。
会社員は健康保険・厚生年金に加入します。フリーランスは国民健康保険・国民年金に切り替わります。この違いは保険料の計算方法・金額・将来の年金受取額すべてに影響します。
会社員の社会保険料の構造(月収50万円の場合)
月収50万円・東京都・協会けんぽ・40歳未満、標準報酬月額500,000円(31等級)での試算です。
| 種別 | 本人負担(月) | 会社負担(月) | 本人負担(年計) |
|---|---|---|---|
| 健康保険料 | 24,950円(4.99%) | 24,950円 | 299,400円 |
| 厚生年金 | 45,750円(9.15%) | 45,750円 | 549,000円 |
| 合計 | 70,700円/月 | 70,700円/月 | 848,400円/年 |
※ 2025年度・東京都・協会けんぽ・40歳未満の目安・参考値です。
フリーランス(年収600万円)の社会保険料
同じ年収600万円のフリーランスの場合、社会保険料はどうなるでしょうか。国民健康保険料は市区町村によって大きく異なりますが、一般的な目安で試算します。
| 種別 | 概算額(年) | 備考 |
|---|---|---|
| 国民年金 | 203,760円 | 月16,980円(2025年度)×12か月・定額 |
| 国民健康保険 | 約40〜60万円 | 市区町村・所得・世帯構成で大幅に変動 |
| 合計(概算) | 約60〜80万円 | — |
※ 国民健康保険料は自治体により大きく異なります。上記は概算の目安・参考値です。居住地の役所に確認してください。
一見すると会社員の本人負担(848,400円)よりフリーランスの方が安く見えます。しかし会社員の場合、会社も同額(848,400円)を負担しています。つまり総コストベースでは会社員の社保の方が手厚い給付を受けながら低コストといえます。
会社員の「隠れたメリット」を忘れずに
会社員の社保には金額以外の大きなメリットがあります。
- 厚生年金の上乗せ:将来の年金受取額が国民年金より大幅に増える(終身受取)
- 傷病手当金:病気・けがで働けない場合、最大1年6か月間・給与の約2/3を受け取れる(フリーランスは対象外)
- 出産手当金:産休中の給与相当額を受け取れる(フリーランスは対象外)
- 会社負担分:月7万円超を会社が払ってくれている(フリーランスは全額自己負担)
フリーランス転向で賢く資産形成するには
フリーランス転向後は社保の薄さを自分でカバーする設計が必要です。国民年金基金・iDeCo・民間保険の活用が選択肢になります。また、収入の波がある中での資産形成も重要な課題です。
転向前に必ず確認すること
- 退職後2年間は「任意継続」で協会けんぽに加入できる(保険料は全額自己負担だが上限あり)
- 配偶者の扶養に入れる場合は保険料ゼロになるケースも
- 国民健康保険料の試算は市区町村の窓口・公式サイトで事前に確認する
- iDeCoはフリーランスでも加入可能。掛金が全額所得控除になり節税効果が大きい
※ 本記事の計算結果はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入している健康保険組合や標準報酬月額の決定時期により異なります。本記事は税務・法律上のアドバイスを提供するものではありません。個別の判断は専門家にご相談ください。

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