社会保険料の免除・猶予制度|申請できるケースを解説

2025年度現在の情報をもとに執筆しています。

この記事でわかること

  • 国民年金・国民健康保険・厚生年金の免除・猶予制度の種類と申請要件
  • 育児休業・産前産後休業中に受けられる社会保険料免除の具体的な金額
  • 免除を利用した場合の将来の年金額への影響と追納の活用法

「保険料を払い続けるのがきつい…」「育休中も保険料がかかるの?」そんな疑問を持つ方は多いですよね。実は、一定の条件を満たせば社会保険料の免除・猶予・軽減が受けられる公的制度が複数あります。この記事では、各制度の申請要件・手続き・年金への影響をまとめて解説します。

国民年金保険料の免除制度|4段階の仕組みを理解しよう

このセクションでは、収入が少ない方や生活が苦しい時期に使える「国民年金保険料の免除制度」の全体像がわかります。

2025年度の国民年金保険料は月額16,980円(年間203,760円)です。自営業者・フリーランス・無職の方など、国民年金第1号被保険者が対象で、前年所得が一定基準以下であれば申請によって4段階の免除が受けられます。

免除の4段階と年金への反映割合

免除区分 月額負担(目安) 老齢基礎年金への反映割合 満額(約816,000円)に対する年金額
全額免除 0円 1/2 約408,000円/年
3/4免除 約4,250円 5/8 約510,000円/年
半額免除 約8,490円 3/4 約612,000円/年
1/4免除 約12,740円 7/8 約714,000円/年

※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。

全額免除を利用すると月々の負担はゼロになりますが、将来の年金額は未免除時の約半分にとどまる点は覚えておきたいところです。ただし、免除期間中も「受給資格期間(10年)」にカウントされるため、年金がまったくもらえなくなるわけではありません。

もし経済状況が改善したら、免除・猶予承認月から10年以内であれば追納が可能です(ただし2年を超えた分は加算額あり)。追納することで年金額を満額に近づけられるため、余裕ができたタイミングで検討してみてください。

全額免除の所得基準(目安)

全額免除の所得基準は「(扶養親族数+1)×35万円+32万円以下」が目安です。単身者なら約67万円以下、配偶者1人いれば約102万円以下が目安となります(前年所得で判定)。申請は市区町村の窓口またはマイナポータルから可能です。

納付猶予・学生納付特例制度|年金額への影響に注意

このセクションでは、若い世代や学生に特化した「猶予制度」と、免除との違いがわかります。

50歳未満で前年所得が一定基準以下の場合は「若年者納付猶予制度」を利用できます。免除と大きく異なる点は、猶予期間が年金額には反映されないこと。受給資格期間にはカウントされますが、将来もらえる年金額は増えません。

学生の場合は「学生納付特例制度」があります。在学中は本人所得が128万円以下(目安)であれば申請により保険料が猶予されます。こちらも年金額への反映はゼロですが、卒業後に追納すれば年金額を回復させることができます。

  • 若年者猶予:50歳未満・低所得者向け/年金額に反映されない
  • 学生納付特例:在学中・本人所得128万円以下/年金額に反映されない
  • どちらも追納(10年以内)で年金額を増やすことが可能

「猶予=免除」と混同している方が多いのですが、猶予はあくまで「後で払う前提の先送り」です。追納しないと将来の年金が少なくなるリスクがあるため、できるだけ早めに追納の計画を立てておくと安心ですよ。

育児休業・産前産後休業中の厚生年金・健康保険料免除

このセクションでは、会社員・公務員の方が育休・産休中に受けられる社会保険料免除の仕組みと、実際に免除される金額がわかります。

育児・介護休業法に基づく育児休業等の期間中は、被保険者本人分・事業主負担分の厚生年金・健康保険料が全額免除されます。2022年10月の法改正により、月内14日以上の育児休業取得で当該月の保険料が免除対象となりました(賞与は1か月超の育休取得が要件)。

月収別の免除額(本人負担分・目安)

月収 標準報酬月額(等級) 厚生年金(免除額) 健康保険(免除額) 合計免除額/月
25万円 260,000円(17等級) 23,790円 12,974円 約36,764円
35万円 360,000円(22等級) 32,940円 17,964円 約50,904円
50万円 500,000円(27等級) 45,750円 24,950円 約70,700円

※40歳以上は介護保険料も免除対象(月収25万円:約2,080円、35万円:約2,880円、50万円:約4,000円を加算)。上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。

月収35万円の方が育休を1年間取得した場合、本人負担分だけで年間約61万円(厚生年金:32,940円×12≒395,280円+健康保険:17,964円×12≒215,568円)もの免除を受けられます。事業主負担分も合わせると年間約122万円相当の免除になる計算です。さらに重要なのは、免除期間中も保険料を納付したとみなされるため、将来の年金額に影響しないという点です。

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産前産後休業中の免除も忘れずに

産前42日(多胎妊娠は98日)・産後56日の産前産後休業期間中も、事業主が申出ることで厚生年金・健康保険料(被保険者・事業主双方)が免除されます。育休と合わせると免除期間はさらに長くなりますね。

自営業者・フリーランス(国民年金第1号被保険者)の場合も、2019年4月から産前産後期間(出産予定月の前月〜出産翌々月の4か月間)の国民年金保険料が全額免除になります。こちらは免除期間が保険料納付済みとして年金額にも反映される、とても手厚い制度です。

国民健康保険料の軽減・猶予・免除制度

このセクションでは、自営業者や退職後の方が対象となる国民健康保険料の軽減・免除制度がわかります。

国民健康保険(国保)にも、知っておくと助かる軽減・免除制度が3種類あります。それぞれ対象者と手続きが異なるので、自分に当てはまるものを確認しておきましょう。

①低所得世帯への法定軽減制度

所得が低い世帯は、均等割・平等割が7割・5割・2割軽減されます。軽減は原則として申請不要で自動判定されますが、住民税申告が必要な場合もあるため、確定申告や住民税申告を忘れないようにしましょう。

②非自発的失業者(倒産・解雇等)の軽減特例

倒産・解雇・雇い止めなど、自分の意思によらない理由で失業した方には国保料の軽減特例があります。前年の給与所得を「30/100(30%)」とみなして保険料を計算するため、負担が大幅に下がります。

たとえば前年の給与収入が400万円(給与所得約270万円)の方が解雇された場合、国保の算定上は所得が約81万円(270万円×30%)とみなされます。通常計算と比べると保険料が大きく下がるイメージです(実際の軽減幅・金額は自治体により異なります)。対象となるのは雇用保険の「特定受給資格者」や「特定理由離職者」で、離職票の提出が必要です。軽減期間は離職翌日の属する月から翌年度末まで続きます。

③災害・特別な事情による条例免除・猶予

災害や病気・失業など特別な事情がある場合は、各市区町村の条例に基づいて減額・免除・猶予が認められることがあります。要件・手続きは自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村窓口に相談してみてください。

まとめ|自分に合った制度を活用して家計を守ろう

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。最後に記事の要点を3点で振り返ります。

  • 国民年金の免除は4段階あり、全額免除でも受給資格期間に算入される。ただし年金額が半減するため、余裕ができたら追納(10年以内)を検討しよう
  • 育児休業・産前産後休業中の社会保険料免除は、本人負担・事業主負担ともに全額免除かつ年金額にも影響しない、非常に手厚い制度。月収35万円なら年間61万円(本人分)の免除になる
  • 国保の非自発的失業者軽減は給与所得を30%とみなして計算するため、解雇・倒産後の家計を大きく助けてくれる。離職票を持って市区町村窓口へ

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本記事は情報提供を目的としており、税務・法律上のアドバイスではありません。正確な保険料や免除要件は加入先の保険者または市区町村の窓口、会社の担当部署にご確認ください。2025年度現在の情報をもとに執筆しています。

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