2025年度現在の情報をもとに執筆しています。
この記事でわかること
- 雇用保険料の計算方法(給与・賞与それぞれ)
- 2025年度の最新料率と業種別の違い
- 健康保険・厚生年金との計算方法の違い
毎月の給与明細を見ると「雇用保険料」という項目で数百〜数千円が引かれていますよね。でも「どうやって計算されているんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?実は、健康保険や厚生年金とは計算の仕組みがまったく異なります。この記事では、計算式から具体的な金額まで、わかりやすく解説します。
雇用保険料とは?仕組みをざっくり理解しよう
このセクションでは、雇用保険料の基本的な役割と、誰が対象になるかを確認します。
雇用保険は、失業したときの「失業給付」や、育児・介護で休業するときの「育児休業給付金」「介護休業給付金」などを受け取るための社会保険です。万が一のときの生活の安全網として、とても大切な制度ですよね。
加入対象となるのは、週所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある労働者です。正社員はもちろん、パートやアルバイトでも条件を満たせば加入します。なお、会社の役員は原則として雇用保険の被保険者にならないため、保険料は徴収されません。
また、2017年1月以降は64歳以上の高年齢労働者も保険料の徴収対象となっています(それ以前は免除されていました)。シニア世代で働いている方も、給与から雇用保険料が引かれているはずです。
2025年度の雇用保険料率|業種によって違います
このセクションでは、2025年度(令和7年度)に適用される最新の料率を業種別に確認します。
雇用保険料率は事業の種類によって3区分に分かれています。厚生労働省の2025年度資料によると、2024年度から据え置きで以下のとおりです。
| 事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 6/1000(0.6%) | 9.5/1000(0.95%) | 15.5/1000(1.55%) |
| 農林水産業・清酒製造業 | 7/1000(0.7%) | 10.5/1000(1.05%) | 17.5/1000(1.75%) |
| 建設業 | 7/1000(0.7%) | 11.5/1000(1.15%) | 18.5/1000(1.85%) |
ほとんどのサラリーマンが該当する「一般の事業」では、労働者負担は0.6%です。事業主は0.95%を負担しており、労働者の約1.6倍を会社が払ってくれている構造になっています。農業・建設業では料率が0.7%と少し高くなる点も覚えておきましょう。
雇用保険料の計算方法|健康保険・厚生年金との大きな違い
このセクションでは、雇用保険料の計算式と、健康保険・厚生年金との違いを具体的に説明します。
計算式はシンプル!「賃金総額×料率」だけ
雇用保険料の計算式はとてもシンプルです。
雇用保険料=賃金総額 × 雇用保険料率
健康保険や厚生年金は「標準報酬月額」という等級表に当てはめた金額を使って計算しますが、雇用保険にはそのような等級制度がありません。実際に支払われた給与・賞与の総額にそのまま料率をかけるだけです。給与が1円増えれば保険料も比例して増える、非常にわかりやすい仕組みですよね。
「賃金総額」に含まれるもの・含まれないもの
ここで注意したいのが「賃金総額」の範囲です。基本給だけではなく、労働の対償として支払われるものはすべて対象になります。
- ✅ 含まれる:基本給、残業代、通勤手当、住宅手当、賞与
- ❌ 含まれない:慶弔見舞金、出張旅費、休業補償など(労働の対償でないもの)
特に見落としがちなのが通勤手当です。健康保険・厚生年金では通勤手当も標準報酬月額に算入されますが、雇用保険でも同様に対象賃金に含まれます。たとえば月収30万円でも、交通費2万円が含まれている場合は「32万円×0.6%=1,920円」が雇用保険料となります。基本給だけで計算した1,800円より120円多くなるので、明細とも照合してみてください。
具体的な計算例|月収・賞与別にシミュレーション
このセクションでは、実際の給与・賞与額を使って雇用保険料を計算します。社保ジャッジで実際に試算した結果をもとにまとめています。
| ケース | 賃金総額 | 料率 | 雇用保険料(月額) | 年間合計 |
|---|---|---|---|---|
| 月収20万円(一般) | 200,000円 | 0.6% | 1,200円 | 14,400円 |
| 月収20万円+交通費5千円(一般) | 205,000円 | 0.6% | 1,230円 | 14,760円 |
| 月収30万円(一般) | 300,000円 | 0.6% | 1,800円 | 21,600円 |
| 月収50万円(一般) | 500,000円 | 0.6% | 3,000円 | 36,000円 |
| 月収50万円(建設業) | 500,000円 | 0.7% | 3,500円 | 42,000円 |
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。
賞与(ボーナス)が出た月の計算
賞与にも同じ料率が適用されます。健康保険や厚生年金の賞与計算では「千円未満切り捨て」の標準賞与額を使いますが、雇用保険は実際の賞与支給額にそのまま料率をかけるだけです。
| 賞与額 | 料率 | 雇用保険料(賞与分) |
|---|---|---|
| 60万円(一般) | 0.6% | 3,600円 |
| 100万円(一般) | 0.6% | 6,000円 |
| 100万円(建設業) | 0.7% | 7,000円 |
月収30万円の方が賞与60万円をもらった月は、給与分1,800円+賞与分3,600円で合計5,400円が雇用保険料として控除されます。賞与100万円の月なら給与分と合わせて7,800円の追加控除が発生するので、手取りがいつもより少ないと感じる月があるのはこのためです。
端数処理のルールは「50銭以下は切り捨て、50銭超は切り上げ」が原則です。ただし、労使間の合意があれば常に切り捨てにすることも認められており、会社によって処理が異なる場合があります。
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。
他の社会保険料と比べると?
月収30万円(一般事業)の場合で、社会保険料の負担感を比較してみましょう。
| 保険の種類 | 月額(本人負担) | 計算の基礎 |
|---|---|---|
| 健康保険(東京都・協会けんぽ) | 14,970円 | 標準報酬月額300,000円×4.99% |
| 厚生年金 | 27,450円 | 標準報酬月額300,000円×9.15% |
| 雇用保険 | 1,800円 | 賃金総額300,000円×0.6% |
雇用保険料は厚生年金の約6.6%に過ぎず、社会保険料全体の中で見るとかなり小さな負担であることがわかります。とはいえ、年間で2万円超が引かれているのは事実。毎月の給与明細をしっかり確認する習慣をつけておきたいですよね。
自分の給与から引かれている社会保険料をもっと詳しく把握したい方には、無料の試算ツールが便利です。
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雇用保険料を正しく理解するための3つの注意点
このセクションでは、雇用保険料の計算で見落としやすいポイントを3つ整理します。
①手当が多いと控除額が増える
雇用保険は賃金総額に料率をかけるため、通勤手当・住宅手当・役職手当など各種手当が多い方ほど控除額が大きくなります。「基本給は変わっていないのに雇用保険料が増えた」という場合は、手当の変化を確認してみてください。健康保険・厚生年金は標準報酬月額の等級に当てはめるため段階的に変わりますが、雇用保険は賃金が増えれば即座に比例して増える仕組みです。
②賞与支給月は控除が重なる
ボーナスが出る月は、給与分と賞与分の雇用保険料が両方引かれます。月収30万円+賞与100万円の月なら合計7,800円が追加控除に。「今月は手取りがいつもより少ない」と感じたときは、賞与月の控除を確認してみましょう。
③64歳以上も保険料が引かれる
2017年1月以前は64歳以上の高年齢労働者は雇用保険料が免除されていましたが、現在は撤廃されています。再雇用や定年後のパート勤務でも、雇用保険の被保険者要件を満たしていれば保険料が天引きされます。給与明細で確認してみてください。
まとめ|雇用保険料は「賃金×0.6%」のシンプル計算
この記事の要点を3つで振り返ります。
- ✅ 雇用保険料=賃金総額×0.6%(一般事業)。標準報酬月額は使わず、実際の賃金に料率をかけるだけ
- ✅ 給与も賞与も同じ計算式。通勤手当など各種手当も対象賃金に含まれる点に注意
- ✅ 社会保険料全体の中では小さい負担だが、年間2万円超になることも。自分の控除額を一度確認してみよう
雇用保険料は計算がシンプルな分、自分で確認しやすい保険料です。しかし、健康保険・厚生年金と合わせた社会保険料の総額を把握するには、少し手間がかかるかもしれません。社保ジャッジのツール(https://tool.shaho-judge.com)なら、給与を入力するだけで各種社会保険料をまとめて試算できます。ぜひ一度お試しください。
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本記事は情報提供を目的としており、税務・法律上のアドバイスではありません。正確な保険料は加入先の保険者または会社の担当部署にご確認ください。

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