この記事でわかること
- 傷病手当金の1日あたり支給額の正確な計算方法
- 2022年改正後の「通算1年6ヶ月」受給期間のしくみ
- 月収別の実際の受給額シミュレーション(手取りベース)
病気やケガで仕事を休まなければならなくなったとき、「生活費はどうなるの?」と不安になりますよね。そんなときに頼りになるのが、健康保険の傷病手当金です。正しく理解して申請すれば、休職中の家計をしっかり支えてくれる制度です。2025年度現在の情報をもとに、わかりやすく解説します。
傷病手当金とは?受給できる4つの条件
このセクションでは、傷病手当金の基本と「自分がもらえるかどうか」の判断基準を確認します。
傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の病気・ケガで働けなくなった場合に支給される所得補償給付です。業務上のケガは労災保険の対象になるため、傷病手当金は「プライベートな病気・ケガ」が対象と覚えておきましょう。
受給するには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
- ①健康保険の被保険者であること(任意継続被保険者も対象)
- ②業務外の病気・ケガであること(業務上・通勤中は労災保険の対象)
- ③療養のために労務不能であること(医師の意見書が必要)
- ④連続する3日間の待期期間を満たしていること(有給・休日・欠勤いずれもカウント可)
待期期間とは、休職開始から最初の連続3日間のことで、この期間は支給ゼロです。4日目から傷病手当金が支給されます。月の途中(例:15日)から休職した場合、その月の受給は残り12〜13日分程度になる点も念頭に置いておきましょう。
支給されないケース・減額されるケース
せっかく申請しても支給対象外になることがあります。主なケースは以下の通りです。
- 給与が全額支払われている期間(一部支給の場合は差額のみ支給)
- 障害厚生年金・障害手当金を受給している場合は調整あり
- 老齢退職年金を受給している場合は支給停止
- 資格喪失後の継続給付は、退職日まで1年以上の被保険者期間が条件
傷病手当金の計算方法をわかりやすく解説
このセクションでは、実際の支給額がどう決まるのか、計算式と具体例で確認します。
傷病手当金の1日あたり支給額は、次の計算式で求めます。
1日あたり支給額 =(過去12ヶ月の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日)× 2/3
「標準報酬月額」とは、毎月の給与をもとに決められる保険料計算の基準額です。実際の月給と完全に一致するわけではなく、一定の等級に区分されています。厚生労働省が定める等級表に基づいて決まります(協会けんぽ・健康保険の場合、第1等級5.8万円〜第50等級139万円)。
月収別・1日あたり支給額の早見表
2025年度現在の標準報酬月額をもとに計算した目安は以下の通りです。
| 月収(目安) | 標準報酬月額(等級) | 1日あたり支給額 | 1ヶ月(30日)受給額 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 200,000円 | 約4,444円 | 約133,320円 |
| 25万円 | 260,000円(第17等級) | 約5,778円 | 約173,340円 |
| 30万円 | 300,000円(第19等級) | 約6,667円 | 約200,010円 |
| 35万円 | 360,000円(第22等級) | 約8,000円 | 約240,000円 |
| 50万円 | 500,000円(第27等級) | 約11,111円 | 約333,330円 |
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料・支給額は加入する保険者や料率によって異なります。
在籍12ヶ月未満の場合は要注意
入社したばかりで被保険者期間が12ヶ月に満たない場合、計算方法が変わります。①在籍期間中の標準報酬月額の平均、②標準報酬月額の下限額(健康保険:58,000円)のいずれか低い額が適用されます。入社直後に長期休職になると、給付額が非常に低くなるリスクがあるので覚えておきましょう。
受給期間は「通算1年6ヶ月」に変わった
このセクションでは、2022年の法改正で変わった受給期間のルールを解説します。
2022年1月1日の法改正以前は、支給開始日から暦日で1年6ヶ月(途中復職しても期間は止まらない)でした。現在は「通算1年6ヶ月(最大548日分)」に変更され、途中で復職した日数を除いてカウントされます。
たとえば、半年休職して復職、その後また体調が悪化して再休職した場合でも、合計で1年6ヶ月(548日分)まで受給できます。復職を繰り返す方にとって、非常にありがたい改正です。なお、支給開始日(最初に傷病手当金が支給された日)を起点にカウントする点はご注意を。
月収別シミュレーション:手取りベースでいくらになる?
このセクションでは、休職中の「実質的な手取り」を社会保険料も含めてシミュレーションします。
傷病手当金は非課税所得なので、所得税・住民税はかかりません。しかし、休職中も健康保険・厚生年金の社会保険料は引き続き徴収されます。そのため、実際の手取りは傷病手当金から社会保険料を差し引いた金額になります。
| 月収(目安) | 月あたり傷病手当金 | 社会保険料(月・本人負担) | 実質手取り(月) | 通算1年6ヶ月の総受給額 |
|---|---|---|---|---|
| 25万円 | 約173,340円 | 約36,764円 | 約136,576円 | 約3,166,344円 |
| 35万円 | 約240,000円 | 約50,904円 | 約189,096円 | 約4,384,000円 |
| 50万円 | 約333,330円 | 約70,700円 | 約262,630円 | 約6,088,828円 |
※社会保険料は東京都・協会けんぽ2025年度の料率(健康保険4.99%、厚生年金9.15%)をもとに算出した目安です。実際の金額は加入する保険者・都道府県により異なります。
たとえば月収35万円の方が1年6ヶ月フル受給した場合、傷病手当金の総受給額は約438万円ですが、社会保険料の総負担(50,904円×18ヶ月=約91.6万円)を差し引くと、実質手取りは約346万円になります。月収の約66〜68%水準が手当として受け取れるイメージです。
また、等級の境界線も侮れません。たとえば報酬月額が290,000円(標準報酬月額300,000円・第19等級)と289,999円(標準報酬月額280,000円・第18等級)では、1日あたりの傷病手当金に約445円の差が生じ、通算548日では約24万円以上の総受給額差になります。月給の細かい金額設定が長期休職時に大きく影響するのです。
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申請方法と注意点
このセクションでは、傷病手当金を確実に受け取るための申請手順と注意点をまとめます。
申請先は、加入している協会けんぽまたは健康保険組合です。申請書には以下の3つの記入欄があります。
- 被保険者記入欄:本人(被保険者)が記入
- 事業主記入欄:会社の担当部署が記入(出勤状況・給与支払い状況など)
- 医師の意見書欄:主治医が労務不能と判断した期間を記入
傷病手当金の時効は2年です。すぐに申請できなかった場合でも、遡及して申請できる場合があります。ただし、時効を過ぎると受け取れなくなるので、なるべく早めに動くことをおすすめします。
退職後も受け取れるケースがある
退職しても傷病手当金を受け続けられるケースがあります。条件は「退職日まで継続して1年以上の被保険者期間があること」かつ「退職日に傷病手当金を受給中(または受給できる状態)であること」。この条件を満たせば、退職後に任意継続・国民健康保険に切り替えても、支給開始日から通算1年6ヶ月まで給付が継続します。退職を検討している方は、このタイミングを慎重に考えてみてください。
まとめ:傷病手当金を最大限活用するための3つのポイント
このセクションで、記事全体の要点を振り返ります。
- 支給額は「標準報酬月額の過去12ヶ月平均 ÷ 30 × 2/3」で計算。月収35万円なら1日約8,000円、1ヶ月約24万円が目安。
- 2022年改正で「通算1年6ヶ月(548日分)」に。途中復職した日はカウントされないため、回復しながら段階的に復帰するプランが立てやすくなった。
- 休職中も社会保険料は継続徴収。傷病手当金から社会保険料を差し引いた「実質手取り」を把握して生活設計を立てることが大切。
自分の場合に実際いくらもらえるのか、より正確に試算したい方は、社保ジャッジの無料試算ツールをぜひ活用してみてください。標準報酬月額の等級確認から傷病手当金の概算まで、まとめてチェックできます。
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本記事は情報提供を目的としており、税務・法律上のアドバイスではありません。正確な保険料・支給額は加入先の保険者または会社の担当部署にご確認ください。2025年度現在の情報をもとに執筆しています。

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