同月得喪とは?転職月に社保料が二重徴収される問題と対処法

この記事でわかること

  • 同月得喪とは何か・どういうときに起きるか
  • 二重徴収が発生する仕組みと2015年改正後の扱い
  • 転職月に社保料を余分に払わないための対処法
  • 健康保険と厚生年金で扱いが異なる点

同月得喪とは

同月得喪(どうげつとくそう)とは、同じ月の中で社会保険の「資格取得」と「資格喪失」の両方が発生することをいいます。転職でいうと、月の途中に前の会社を退職し、同じ月のうちに新しい会社に入社した場合がこれに当たります。

たとえば5月15日に退職して5月20日に新しい会社に入社した場合、5月は前の会社でも新しい会社でも社会保険に加入していることになります。この「同じ月に2つの会社で社会保険に入る」状態が同月得喪です。

なぜ二重徴収の問題が起きるのか

社会保険料は「月単位」で計算されます。本来は1か月に1つの保険者(会社)に保険料を払えばよいのですが、同月得喪が起きると、前の会社・新しい会社の両方から1か月分の保険料が徴収されてしまうケースがあります。

これが「二重徴収」と呼ばれる問題です。毎月数万円かかる社会保険料が1か月で2倍になってしまうため、転職月の手取りが大幅に減るリスクがあります。

2015年改正で厚生年金は返還される仕組みに

2015年10月の法改正により、厚生年金については同月得喪で二重徴収になった場合、後から返還される仕組みが整備されました。

具体的な流れは以下のとおりです。

  • 転職月(同月得喪)に前の会社・新しい会社の両方から厚生年金保険料が徴収される
  • 新しい会社が日本年金機構に保険料を納付する
  • 日本年金機構が前の会社に「同月得喪に該当する」と通知し、前の会社が余分に徴収した分を年金機構から返還される
  • 前の会社が退職した従業員(本人)に差額を返還する義務を負う

つまり、最終的には返ってくる設計になっています。ただし、返還のタイミングは法律上明確でなく、数か月後になることも珍しくありません。

健康保険は返還されない

注意が必要なのは、健康保険の扱いが厚生年金と異なる点です。健康保険は2015年の改正の対象外であり、同月得喪が発生しても保険料は返還されません。

前の会社で退職日まで健保に加入し、新しい会社で入社日から健保に加入した場合、両方から1か月分の健康保険料が徴収されます。この分は原則として戻ってきません。

ただし、前の会社を退職した月に国民健康保険(国保)に切り替えて、翌月以降に新しい会社の健保に加入するという方法を取ると、同月得喪自体が発生しないため二重徴収を回避できます。転職の日程に柔軟性がある場合は、この点も頭に入れておくとよいでしょう。

退職日と入社日の設定で影響が変わる

同月得喪の影響は、退職日と入社日の設定によって変わります。以下の2つのパターンで比較してみましょう。

パターン 退職日 入社日 同月得喪の有無
A(同月得喪あり) 5月15日 5月20日 あり(5月に両方加入)
B(同月得喪なし) 5月31日 6月1日 なし(月をまたぐ)

※あくまで目安・参考値です。実際の判定は各保険者にご確認ください。

パターンBのように月末に退職して翌月1日に入社すると、同月得喪は発生しません。社会保険料は退職月の翌月から新しい会社で徴収されるため、二重徴収のリスクがありません。転職の日程を自分でコントロールできる場合は、月末退職・翌月1日入社が最もシンプルな選択肢です。

前の会社から返還されない場合の対応

厚生年金の返還は前の会社が行う義務を負いますが、会社が倒産していたり、連絡が取れなくなったりしているケースでは実際に受け取れないことがあります。

そのような場合は、日本年金機構の窓口や年金事務所に相談することで、返還額を直接受け取れる場合があります。ねんきんネットでの記録確認と合わせて、困ったときは年金事務所への問い合わせが最初の一歩です。

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まとめ

同月得喪は転職月に起きやすい社会保険の落とし穴です。厚生年金は法改正で返還される仕組みが整いましたが、健康保険は対象外です。転職日程に余裕があれば月末退職・翌月入社を選ぶのが最もシンプルな回避策です。

本記事の内容はあくまで目安・参考値です。実際の取り扱いは勤務先の会社や加入している保険者によって異なります。税務・法律上のアドバイスではありませんのでご注意ください。

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