2025年度現在の情報をもとに執筆しています。
この記事でわかること
- 産休中に社会保険料が全額免除される仕組みと金額の目安
- 育休中の免除との3つの違い(開始時期・対象期間・月途中の扱い)
- 事業主が行う手続きの流れと復職後の注意点
「産休に入ったら社会保険料はどうなるの?」と気になっている方、多いですよね。実は産休中も育休中と同様に社会保険料が免除されるのですが、制度の細かいルールは少し異なります。この記事では、産休免除のしくみをわかりやすく解説しつつ、実際にいくら免除されるのかも具体的な数字でお伝えします。
産休中の社会保険料免除とは?制度の基本をおさえよう
このセクションでは、産休中の社会保険料免除制度の概要と対象期間を整理します。
産休(産前産後休業)中の社会保険料免除制度は、2014年4月1日に施行されました。育休中の免除(1992年〜)より後発の制度です。対象となるのは産前42日(多胎妊娠の場合は98日)と産後56日の産前産後休業期間で、この期間中は健康保険料・厚生年金保険料が労使双方ともに全額免除となります。本人負担分だけでなく、会社負担分もゼロになるのがポイントです。
40〜64歳の方には介護保険料(2025年度:労使合計1.60%、本人負担0.80%)も加わりますが、こちらも同様に免除対象です。免除期間中も「保険料を納めた期間」として扱われるため、将来の老齢厚生年金の計算上は不利になりません。出産手当金・出産育児一時金の受給権も継続します。
免除の対象となる保険料
- 健康保険料(本人負担・会社負担ともに全額)
- 厚生年金保険料(本人負担・会社負担ともに全額)
- 介護保険料(40〜64歳のみ・本人負担・会社負担ともに全額)
実際にいくら免除される?月収別の試算
このセクションでは、月収別の免除額を具体的な数字で確認します。
社保ジャッジのツールで確認してみると、月収によって免除額にかなり差があることがわかります。産休期間(産前42日+産後56日=最大98日、約3.3ヶ月)を前提に試算した結果が以下の表です。
| 月収 | 標準報酬月額(等級) | 厚生年金(本人) | 健康保険(本人) | 合計/月 | 産休期間の免除総額目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 25万円 | 260,000円(17等級) | 23,790円 | 12,974円 | 36,764円 | 約12.1万円 |
| 35万円 | 360,000円(22等級) | 32,940円 | 17,964円 | 50,904円 | 約16.8万円 |
| 50万円 | 500,000円(27等級) | 45,750円 | 24,950円 | 70,700円 | 約23.3万円 |
※健康保険料は東京都・協会けんぽ2025年度料率(本人負担4.99%)を使用。厚生年金は本人負担9.15%で計算。
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。
40歳以上の場合:介護保険料も加算される
40〜64歳の方は、介護保険料(2025年度:労使合計1.60%、本人負担0.80%)も免除されます。月収35万円(標準報酬360,000円)の場合、介護保険料の本人負担は月2,880円。産休期間(約3.3ヶ月)分を合わせると、免除総額は約17.7万円になります。
| 月収 | 介護保険料(本人)/月 | 40歳以上の合計/月 | 産休期間の免除総額(40歳以上) |
|---|---|---|---|
| 25万円 | 2,080円 | 38,844円 | 約12.8万円 |
| 35万円 | 2,880円 | 53,784円 | 約17.7万円 |
| 50万円 | 4,000円 | 74,700円 | 約24.7万円 |
※介護保険料は標準報酬月額×0.80%(本人負担)で計算。
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。
なお、会社負担分も同額が免除されるため、月収35万円の従業員1人あたり産休期間中の労使合計免除額は約33.6万円(40歳以上なら約35.5万円)にのぼります。企業側のコスト軽減にもなっているんですね。
「育休との違いも知りたい」「もっと詳しく自分のケースを試算したい」という方は、こちらのツールが便利ですよ。
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育休中の免除との3つの違い
このセクションでは、産休免除と育休免除の具体的な違いを3点に絞って解説します。
産休と育休、どちらも社会保険料が免除されますが、制度の細かいルールは異なります。混同しやすいポイントを整理しておきましょう。
違い①:制度の開始時期と対象期間
育休中の免除は1992年から存在する一方、産休の免除は2014年導入と後発です。対象期間も異なります。産休の免除は産前42日〜産後56日(法定期間内)に限定されています。育休の免除は育児休業等期間中(原則子が1歳到達日の前日まで、最長3歳未満まで延長可)が対象です。
違い②:月途中開始・終了の扱い
育休免除では2022年10月の改正により、「月末時点で育休中」かつ「同月内に14日以上育休取得」の場合に当該月の保険料が免除される見直しがありました。短期取得への対応が目的の改正です。
一方、産休免除は月途中に開始・終了した月も免除対象となります。産休開始月も産休終了月も、どちらも保険料が免除されるというシンプルな仕組みです。育休の複雑な月途中ルールを覚えなくてよい分、わかりやすいかもしれません。
違い③:まとめ比較表
| 項目 | 産休免除 | 育休免除 |
|---|---|---|
| 制度開始 | 2014年4月〜 | 1992年〜 |
| 対象期間 | 産前42日(多胎98日)+産後56日 | 育休期間中(最長3歳未満まで) |
| 月途中の扱い | 開始月・終了月ともに免除 | 月末育休中+同月14日以上取得で免除 |
| 申請者 | 事業主 | 事業主 |
| 年金への影響 | なし(従前の標準報酬月額が維持) | なし(従前の標準報酬月額が維持) |
手続きの流れと復職後の注意点
このセクションでは、事業主が行う手続きの流れと、復職後に知っておきたい「標準報酬月額の改定特例」を説明します。
産休中の社会保険料免除の手続きは、被保険者本人ではなく事業主が行います。「自分で申請しなくていいの?」と思う方もいるかもしれませんが、原則として会社が代わりに手続きを進めてくれます。妊娠がわかったら早めに会社の担当部署に伝えておくとスムーズです。
手続きの主なステップ
- 事業主が「産前産後休業取得者申出書」を管轄の年金事務所または健康保険組合に提出
- 産休終了後、事業主が「産前産後休業取得者変更(終了)届」を提出
- 産休終了後に報酬が変わる場合は、「産前産後休業終了時改定」の適用も検討
提出期限の法定規定はありませんが、速やかに提出するのが望ましいとされています。会社任せにせず、「申出書を提出してもらえましたか?」と確認しておくと安心ですよ。
復職後の「標準報酬月額改定の特例」に注目
産休・育休後に時短勤務などで給与が下がった場合は、産前産後休業終了時改定(随時改定の特例)が使えます。通常の随時改定は「報酬が2等級以上の差が生じた場合」に限りますが、この特例では1等級の差でも改定が認められます。復職後の保険料が速やかに引き下げられるため、手取りへのダメージを抑えることができます。
たとえば月収25万円の人が復職後に月収21万円に下がった場合、標準報酬月額は17等級(260,000円)→15等級(220,000円)に下がり、厚生年金保険料は月約3,660円ほど減額されます。この特例を知っているかどうかで、復職後の家計に差が出てくる可能性があります。
年金への影響は?免除でも「損しない」理由
このセクションでは、産休・育休中の免除が将来の年金にどう影響するかを解説します。
「保険料を払っていない期間があると、将来の年金が減ってしまうのでは?」と心配になる方も多いですよね。でも安心してください。産休・育休中の免除期間は「保険料を納めた期間」として扱われます。老齢厚生年金の計算では、免除前の標準報酬月額がそのまま記録される仕組みです。
たとえば月収35万円(標準報酬360,000円)の方が産休・育休を合わせて1年取得した場合、年金記録上は約360万円(30万円×12ヶ月相当)が保険料ゼロで積み上がる計算になります。これは実質的に非常に大きなメリットといえるでしょう。
出産手当金(産前42日・産後56日を対象に標準報酬日額の3分の2相当が支給)や出産育児一時金(50万円:2025年度も維持)の受給権も継続します。産休中の収入面での安心材料として、ぜひ頭に入れておいてください。
まとめ:産休免除の3つのポイント
ここまでの内容を3点に絞って振り返ります。
- ✅ 産休中は健康保険・厚生年金が労使双方ともに全額免除(2014年〜)。月収35万円なら産休期間中に本人負担だけで約16.8万円免除される
- ✅ 育休免除との違いは「月途中の扱い」と「対象期間の長さ」。産休は開始月・終了月ともに免除対象とシンプル
- ✅ 手続きは事業主が行い、将来の年金も不利にならない。復職後は「産休終了時改定の特例」も忘れずに確認しよう
産休中は何かと不安なことも多いですが、社会保険の制度はきちんと整備されています。自分の免除額や等級をもっと詳しく確認したい方は、社保ジャッジのシミュレーターを使ってみてください。
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本記事は情報提供を目的としており、税務・法律上のアドバイスではありません。正確な保険料は加入先の保険者または会社の担当部署にご確認ください。2025年度現在の情報をもとに執筆しています。介護保険料率は年度により変動する場合があります。最新の確定値は協会けんぽ・健康保険組合の公式情報でご確認ください。

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