「毎月の給与明細に書かれている厚生年金って、どうやって計算されているの?」「上限があるって聞いたけど、本当?」——そんな疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。厚生年金保険料は毎月確実に天引きされる大きな支出ですが、その仕組みをきちんと理解している人は意外と少ないものです。
この記事では、2025年度(令和7年度)の最新情報をもとに、厚生年金の基本的な仕組みから保険料の計算方法、そして知っておきたい「上限」のルールまでを丁寧に解説します。
この記事でわかること
- 厚生年金保険の仕組みと加入条件の基本
- 標準報酬月額をもとにした保険料の具体的な計算方法と月収別の試算例
- 保険料に上限がある理由と、それが将来の年金額に与える影響
厚生年金保険とは?制度のキホンをおさらい
国民年金の「上乗せ」として機能する2階建て年金
日本の公的年金は「2階建て」の構造になっています。1階部分が20歳以上60歳未満の全国民が加入する国民年金(基礎年金)、そして2階部分が会社員や公務員が加入する厚生年金保険です。つまり、会社勤めをしている方は国民年金と厚生年金の両方に加入していることになります。
厚生年金に加入していると、将来受け取る年金額が国民年金だけの場合よりも多くなります。「基礎年金+厚生年金」の2段階で受け取れるイメージですね。給付の種類も、老齢(老後の年金)だけでなく、障害を負った場合の障害厚生年金、万が一亡くなった場合に遺族が受け取れる遺族厚生年金など、手厚い保障がそろっています。
誰が加入するの?加入条件を確認
厚生年金保険は70歳未満の会社員・公務員が強制加入となります。正社員はもちろん、一定の要件(週の所定労働時間20時間以上・月額賃金8.8万円以上など)を満たすパート・アルバイトの方も加入対象です。
「自分は加入しているのかな?」と気になる方は、給与明細に「厚生年金保険料」の項目があるかどうかを確認してみてください。天引きされていれば加入しています。
保険料の計算方法|標準報酬月額がカギ
保険料の基本公式
厚生年金保険料の計算は、実はとてもシンプルです。基本公式は次のとおりです。
毎月の保険料 = 標準報酬月額 × 18.3%
この18.3%という保険料率は2017年9月以降ずっと固定されています。そして、この保険料は会社と本人が半分ずつ(労使折半)で負担するため、実際に給与から天引きされるのは9.15%分です。
たとえば標準報酬月額が30万円の方なら、300,000円 × 9.15% = 27,450円が毎月の本人負担額となります。
標準報酬月額って何?どう決まるの?
「標準報酬月額」は、保険料を計算するために実際の給与を一定の幅で区切った金額のことです。厚生年金では第1等級(88,000円)から第32等級(650,000円)までの32段階に区分されています。
たとえば月収が25万円の方の場合、報酬月額250,000円は「250,000円以上270,000円未満」の範囲に該当するため、標準報酬月額は260,000円(第17等級)となります。実際の月収がそのまま計算に使われるのではなく、等級表に当てはめた金額が使われるわけです。
この標準報酬月額は、毎年4月・5月・6月の給与の平均をもとに7月に決定されます(定時決定)。決定された等級はその年の9月から翌年8月まで適用されるのが原則です。また、昇給や降給などで固定的賃金が大きく変動し、標準報酬月額が2等級以上変わる場合は「随時改定」が行われます。
つまり、4〜6月に残業が多いと、9月以降の保険料が上がる可能性があるということ。この仕組みを知っておくだけでも、給与明細の変化に納得しやすくなりますよね。
月収別の保険料シミュレーション
実際にいくつかの月収パターンで、厚生年金と健康保険(東京都・協会けんぽの場合)の本人負担額を試算してみました。
| 月収 | 標準報酬月額(等級) | 厚生年金 本人負担 |
健康保険 本人負担 |
合計(月額) |
|---|---|---|---|---|
| 25万円 | 260,000円(17等級) | 23,790円 | 12,974円 | 36,764円 |
| 30万円 | 300,000円(19等級) | 27,450円 | 14,970円 | 42,420円 |
| 35万円 | 360,000円(22等級) | 32,940円 | 17,964円 | 50,904円 |
| 50万円 | 500,000円(27等級) | 45,750円 | 24,950円 | 70,700円 |
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。健康保険料は東京都・協会けんぽ(本人負担4.99%)で計算しています。
月収25万円と月収50万円を比べると、厚生年金の本人負担だけで月21,960円、年間では約26.4万円もの差が生まれます。給与が上がれば保険料負担も確実に増えていくことがわかりますね。
「自分の正確な保険料が知りたい」という方は、社保ジャッジの無料シミュレーションツール(https://tool.shaho-judge.com)で月収を入力するだけで簡単に試算できますので、ぜひ活用してみてください。
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保険料の「上限」と等級の境界線に要注意
第32等級(65万円)が保険料の天井
厚生年金保険料には上限があります。2025年度現在、最も高い等級は第32等級・標準報酬月額650,000円(報酬月額635,000円以上が対象)です。この等級に該当すると、本人負担額は次のとおりです。
650,000円 × 9.15% = 59,475円/月(年間 713,700円)
つまり、月収が70万円でも100万円でも、厚生年金の本人負担は月59,475円で頭打ち。これ以上は増えません。「稼げば稼ぐほど保険料が青天井に上がっていく」わけではないんですね。
ただし、ここで注意しておきたいのが将来の年金額への影響です。老齢厚生年金の受給額は「標準報酬月額 × 加入月数」をもとに計算されます。上限の65万円を超える給与をもらっていても、年金額の計算に使われるのはあくまで65万円まで。つまり、保険料が頭打ちになるのと同様に、将来受け取る年金額の計算基礎も頭打ちになるということです。
賞与(ボーナス)にも保険料がかかる
見落としがちですが、賞与にも厚生年金保険料がかかります。計算方法は月額と同じで、標準賞与額 × 18.3%(本人負担9.15%)です。
ただし、賞与の場合は1回あたり150万円という上限が設けられています。たとえば200万円のボーナスをもらっても、保険料の計算に使われるのは150万円まで。上限適用時の本人負担額は 150万円 × 9.15% = 137,250円です。
※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。
わずかな給与差で保険料が変わる?等級の境界線
標準報酬月額の等級は「○円以上〜○円未満」という区分で決まります。そのため、ほんのわずかな給与の違いで等級が1つ上がり、保険料がジャンプするケースがあります。
たとえば、月収269,999円は標準報酬月額260,000円(第17等級)ですが、月収270,000円になると標準報酬月額280,000円(第18等級)に上がります。標準報酬月額が2万円アップし、厚生年金の本人負担だけで月1,830円、年間にすると約22,000円の差が生じるのです。
実際に社保ジャッジのツール(https://tool.shaho-judge.com)で月収を1万円ずつ変えて試算してみると、等級が切り替わるタイミングがはっきりわかります。「あと少し残業を減らしたほうが手取りが増える」といったケースも見えてくるので、一度試してみることをおすすめします。
定時決定と随時改定|保険料が変わるタイミング
毎年9月に保険料が見直される「定時決定」
標準報酬月額は、毎年4月・5月・6月に支払われた報酬の平均をもとに7月に届出が行われ、9月から翌年8月まで適用されます。これを「定時決定(算定基礎届)」と呼びます。
ポイントは、この3か月間に残業代や各種手当が多いと、標準報酬月額が高く算定されてしまうこと。逆に言えば、4〜6月にたまたま残業が少なかった方は、実態よりも低い等級で1年間過ごせる可能性もあります。もちろん意図的に残業をコントロールするのは現実的ではないかもしれませんが、仕組みとして知っておくことは大切です。
昇給・降給時に注意したい「随時改定」
定時決定のほかに、随時改定(月額変更届)という仕組みもあります。基本給や役職手当など「固定的賃金」が変動し、変動後3か月間の報酬平均で算定した標準報酬月額が2等級以上変わる場合、定時決定を待たずに等級が見直されます。
昇給して嬉しいのもつかの間、翌月以降の保険料が上がる可能性がある——という点は頭に入れておきましょう。逆に降給があった場合は保険料が下がることもありますので、給与明細をこまめにチェックする習慣をつけておくと安心です。
保険料負担と老後資金のバランスを考えよう
保険料は「掛け捨て」ではない
毎月数万円も天引きされる厚生年金保険料を「痛い出費」と感じる方は少なくないでしょう。しかし、厚生年金は掛け捨ての保険ではありません。支払った保険料は将来の年金額に反映されますし、万が一の障害や死亡の際にも給付が受けられます。
とはいえ、公的年金だけで老後の生活費をすべて賄えるかというと、不安を感じる方も多いのが現実です。厚生労働省の資料でも、老齢厚生年金の平均受給月額は約14万円〜15万円程度(2025年度時点の参考値)とされており、生活費との差を自助努力で埋める必要があります。
上限超えの高所得者ほど「自分年金」の備えが大切
先ほど説明したとおり、標準報酬月額の上限は65万円です。月収がそれ以上の方は、保険料が頭打ちになる反面、将来の年金額も65万円ベースで計算されます。つまり、現役時代の収入と年金額のギャップが大きくなりやすいのが高所得者の特徴です。
このギャップを埋める手段として、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC、NISAなどの制度を活用して「自分年金」を準備することが重要になります。特にiDeCoは掛金が全額所得控除になるため、所得税・住民税の節税効果も期待できます。厚生年金の仕組みを理解したうえで、足りない部分を計画的に補っていく意識が大切ですね。
まとめ|まずは自分の保険料を正しく知ることから
最後に、この記事のポイントを振り返りましょう。
- 厚生年金保険料は「標準報酬月額 × 18.3%」で計算され、本人負担は9.15%(労使折半)
- 標準報酬月額は全32等級。上限は第32等級の650,000円で、それ以上の給与でも保険料は増えない
- 等級の境界線付近では、わずかな月収差で保険料が変わることがある
- 4〜6月の給与で1年間の保険料が決まる「定時決定」の仕組みを知っておくことが大切
- 保険料の上限は将来の年金額の上限でもある。公的年金だけに頼らず、自助努力での備えも検討を
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※本記事は2025年度現在の情報をもとに執筆しています。
※本記事は情報提供を目的としており、税務・法律上のアドバイスではありません。正確な保険料は加入先の保険者または会社の担当部署にご確認ください。
※保険料率は東京都・協会けんぽ(健康保険本人負担4.99%)および厚生年金(本人負担9.15%)の2025年度の数値を使用しています。

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