企業型DC(確定拠出年金)で節税|iDeCoとの違いを比較

2025年度現在の情報をもとに執筆しています。

この記事でわかること

  • 企業型DC(確定拠出年金)がどのように所得税・住民税を減らすか
  • iDeCoと企業型DCの「社会保険料への影響」の決定的な違い
  • 選択制DC(給与振替型)の社会保険料軽減効果と注意点

「会社が企業型DCに加入しているけど、正直どれくらい得なの?」「iDeCoと何が違うの?」と思っている方、多いのではないでしょうか。この記事では、制度の仕組みから具体的な節税額の試算まで、わかりやすくまとめました。ぜひ最後まで読んでみてください。

企業型DC(確定拠出年金)の節税の仕組み

このセクションでは、企業型DCがなぜ節税になるのか、その基本的な仕組みを整理します。

企業型DC(企業型確定拠出年金)は、会社が毎月掛金を積み立て、従業員が自分で運用方法を選ぶ私的年金制度です。加入者数は2024年度末時点で800万人を超えており、多くの会社員にとって身近な制度になっています。

税制上の大きなポイントは次の3つです。

  • 会社が拠出する掛金(事業主掛金):従業員の「給与」として扱われないため、所得税・住民税の課税対象になりません
  • 運用期間中の運用益:通常の投資では課税されますが、DC口座内では全額非課税
  • 受取時:一時金なら「退職所得控除」、年金形式なら「公的年金等控除」が適用される

これらの3つの非課税・控除は、iDeCoとほぼ同じ設計です。ただし、社会保険料への影響については大きな違いがあります。ここが企業型DCを理解する上での最重要ポイントです。

掛金の上限額(2025年度)

厚生労働省の2025年度資料によると、掛金の上限は加入状況によって以下のように異なります。

加入パターン 月額上限
企業型DC単独(他の企業年金なし) 55,000円
企業型DC+確定給付企業年金あり 27,500円
マッチング拠出(従業員の上乗せ) 事業主掛金と同額かつ合計上限内
企業型DC併用時のiDeCo(他の企業年金なし) 20,000円(事業主掛金との合計が55,000円以内)
iDeCo単独(会社員・企業年金なし) 23,000円

企業型DCがある職場では、制度によっては事業主掛金55,000円+iDeCo20,000円で最大75,000円/月の積立も可能です。これはiDeCo単独の約3倍以上の規模で、長期運用では大きな差になりますよね。

iDeCoとの決定的な違い:社会保険料はどうなる?

このセクションでは、多くの方が見落としがちな「社会保険料への影響」について、企業型DCとiDeCoの違いを丁寧に解説します。

iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除になります。税金(所得税・住民税)は減りますが、健康保険や厚生年金の計算基礎となる「標準報酬月額」は一切変わりません。つまり、iDeCoでは社会保険料は1円も変わらないのです。

一方、企業型DCには2つのパターンがあり、それぞれ社会保険料への影響が異なります。

パターン①:通常の事業主掛金(会社が一方的に拠出するタイプ)

会社が給与とは別に拠出する掛金は、そもそも「報酬」に含まれません。そのため標準報酬月額の計算に影響せず、社会保険料は変わりません。節税効果は「運用益の非課税」と「受取時の各種控除」に限られます。iDeCoとほぼ同じ構造ですね。

パターン②:選択制DC(給与の一部をDC掛金に振り替えるタイプ)

一部の企業では、給与の一部を自分の意思でDC掛金に「振り替える」選択制DCを導入しています。この場合、振替後の残余給与が標準報酬月額の算定基礎となるため、等級が下がって社会保険料が軽減されることがあります。これがiDeCoには絶対にない、選択制DC特有のメリットです。

具体的な試算で比較してみよう

このセクションでは、月収別に実際の数字で節税効果を確認します。社保ジャッジで実際に試算した結果をもとにまとめました。

月収25万円のケース:選択制DCで毎月2万円振替

項目 振替なし(通常) 選択制DC月2万円振替後
標準報酬月額 260,000円(第17等級) 220,000円(第15等級)
厚生年金(本人負担) 23,790円 20,130円
健康保険(東京都) 12,974円 10,978円
介護保険(40歳以上) 2,080円 1,760円
社会保険料合計(40歳以上) 38,844円/月 32,868円/月
社会保険料の差額 ▲5,976円/月(▲71,712円/年)

※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。

月収50万円のケース:選択制DCで上限55,000円/月を振替

項目 振替なし(通常) 選択制DC月5.5万円振替後
標準報酬月額 500,000円(第27等級) 440,000円(第25等級)
厚生年金(本人負担) 45,750円 40,260円
健康保険(東京都) 24,950円 21,956円
介護保険(40歳以上) 4,000円 3,520円
社会保険料合計(40歳以上) 74,700円/月 65,736円/月
社会保険料の差額 ▲8,964円/月(▲107,568円/年)

※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。

月収50万円で上限まで振替すると、社会保険料だけで年間約10万円以上の軽減になります。さらに所得税・住民税の節税(課税所得が年66万円減少)も加わるため、トータルの手取り改善効果は年間15〜20万円超になるケースも珍しくありません。

保険料の負担を少しでも軽くしたい方には、こうした制度の活用と合わせて、資産を効率よく増やす選択肢も検討してみる価値があります。

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受取時の節税:退職所得控除の威力

このセクションでは、企業型DCをいざ受け取るときの税制上のメリットを確認します。

企業型DCの受取時に適用される退職所得控除は、長期加入ほど大きくなる非常に強力な控除です。厚生労働省の制度設計によると、計算式は以下のとおりです。

  • 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
  • 勤続20年超:800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)

たとえば30年間加入して一時金受取した場合、退職所得控除は「800万円+70万円×10年=1,500万円」になります。積立元本が月41,666円×360か月=1,500万円以内であれば、受取時の税負担はゼロ。運用益が上乗せされると課税対象が生じることもありますが、運用期間中も非課税なので、長期・複利運用との相性は抜群です。

※上記はあくまで目安・参考値です。実際の控除額や税負担は個人の状況によって異なります。

選択制DCの注意点:メリットだけではない

このセクションでは、選択制DC(給与振替型)を選ぶ際に必ず知っておきたいデメリットも正直にお伝えします。

選択制DCで社会保険料が下がることはメリットですが、標準報酬月額が下がることは同時に以下のデメリットも生じます。

  • 将来の厚生年金受給額が減る:標準報酬月額の平均に連動するため、受給額が少なくなる
  • 傷病手当金・出産手当金の給付額が下がる:これらの給付も標準報酬月額を基準に計算されます
  • 雇用保険料の算定基礎が変わる:失業給付などにも影響が出る場合があります

特に、育休取得の可能性がある方や若年層は、短期的な社会保険料の軽減と将来の給付・受給額の減少を慎重にバランスさせる必要があります。「今の手取りが増えた!」と喜ぶだけでなく、長期的な視点での試算が大切です。

iDeCoとの比較まとめ表

比較ポイント 企業型DC(事業主掛金) 選択制DC(給与振替) iDeCo
所得税・住民税の節税 ○(給与非課税) ○(給与非課税) ○(所得控除)
社会保険料の軽減 なし あり(等級が下がる場合) なし
運用益の非課税
受取時の控除 退職所得控除 or 公的年金等控除 退職所得控除 or 公的年金等控除 退職所得控除 or 公的年金等控除
将来給付額への影響 なし あり(厚生年金・傷病手当金等が減少) なし
月額上限(目安) 55,000円 55,000円 23,000円(企業型DC併用時は最大20,000円)

まとめ:企業型DCは「3つの節税×1つの注意点」で理解しよう

この記事のポイントを3点で振り返ります。

  • ①節税の3段階:拠出時(給与非課税)・運用時(運用益非課税)・受取時(退職所得控除 or 公的年金等控除)の3段階で節税できるのが企業型DC最大の強みです
  • ②iDeCoとの最大の違い:選択制DC(給与振替型)では社会保険料の軽減という追加効果がある反面、将来の厚生年金受給額・傷病手当金も下がるトレードオフがある。iDeCoは社会保険料に影響なし
  • ③受取時の控除が強力:30年加入なら退職所得控除が1,500万円。長期加入ほど受取時の税負担ゼロになりやすく、iDeCoと合わせた活用が効果的

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本記事は情報提供を目的としており、税務・法律上のアドバイスではありません。正確な保険料は加入先の保険者または会社の担当部署にご確認ください。

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