企業型DC(確定拠出年金)で節税|iDeCoとの違いを比較

2025年度現在の情報をもとに執筆しています。

この記事でわかること

  • 企業型DC(確定拠出年金)の税制優遇のしくみと節税効果
  • iDeCoとの掛金上限・税制の違いと、2022年10月改正後の併用ルール
  • 「選択制DC」で社会保険料が下がるケースと、そのリスク

「会社が企業型DCに加入しているけど、自分にとってどんな得があるの?」と感じている方は多いのではないでしょうか。あるいは、「iDeCoと組み合わせるともっと節税できる?」と気になっている方もいるかもしれません。

この記事では、企業型DCの節税メリットをわかりやすく整理しつつ、iDeCoとの違い・比較、さらに「選択制DC」の社会保険料への影響まで丁寧に解説します。実際の計算例も豊富に紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

企業型DC(確定拠出年金)の節税のしくみ

このセクションでは、企業型DCがどのように節税につながるのか、そのしくみを理解できます。

企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、企業が従業員のために掛金を拠出し、従業員自身が運用先を選んで老後資産を形成する私的年金制度です。国が制度として認めているだけあって、税制面での優遇が充実しています。

節税の恩恵は、大きく3つのタイミングに分けられます。

  • 積立時:企業が拠出する掛金は全額損金算入(企業の法人税節税)。従業員には給与として課税されないため、所得税・住民税の課税対象外になります。
  • 運用時:運用中に生じた利益(値上がり益・分配金など)は非課税。通常の投資信託では約20%課税されますが、DCの中では全額が次の運用に回せます。
  • 受取時:一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金形式で受け取る場合は公的年金等控除が適用されます。

特に「積立時に給与課税されない」点は大きなポイントです。仮に月額5万円の企業型DC掛金があれば、年間60万円分が所得に加算されず、所得税・住民税の計算から除外されます。中〜高収入の方ほど、この効果は大きくなります。

掛金上限(2025年度)

企業型DCの掛金には上限があります。2024年12月施行の改正を経た現行ルールでは以下のとおりです。

加入状況 月額上限 年間上限
企業型DCのみ(DB等他制度なし) 55,000円 660,000円
DB等他制度と併用 27,500円 330,000円

※上記はあくまで目安・参考値です。実際の掛金上限は加入する企業の規約や他制度の状況によって異なります。会社の担当部署にご確認ください。

iDeCoとの違いを徹底比較

このセクションでは、企業型DCとiDeCoの主要な違いと、2022年10月以降の併用ルールを理解できます。

2022年10月の制度改正により、企業型DC加入者もiDeCoに原則併用加入できるようになりました。これは大きな改正で、「会社のDCだけでは物足りない」と感じている方には朗報です。ただし、iDeCoの掛金上限は企業型DCの状況によって変わります。

比較項目 企業型DC iDeCo(企業型DC併用時)
掛金の拠出者 原則、企業 個人
月額掛金上限 55,000円(他制度なし) 20,000円(他制度なし)/ 12,000円(DB等併用)
税制メリット(積立時) 給与課税なし(所得控除とは異なるしくみ) 全額が小規模企業共済等掛金控除(所得控除)
運用中の利益 非課税 非課税
受取時の優遇 退職所得控除 or 公的年金等控除 退職所得控除 or 公的年金等控除
手続き先 会社経由 個人が金融機関で手続き

iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として全額が所得控除になります。これは非常に強力な優遇で、所得税率が高い方ほど節税効果が大きくなります。実際に社保ジャッジで試算してみると、月収35万円・所得税率20%・住民税率10%の方がiDeCoを月額2万円拠出した場合、年間7.2万円の節税になることが確認できます。

iDeCo併用の節税シミュレーション

月収 所得税率 iDeCo月額 年間節税額(目安)
25万円 10% 20,000円 48,000円
35万円 20% 20,000円 72,000円
50万円 20% 20,000円 72,000円

※上記はあくまで目安・参考値です。実際の節税額は給与水準・扶養状況・各種控除の有無等によって異なります。

月収35万円の方なら、iDeCoを10年間続けるだけで累計72万円もの節税効果が期待できます。さらに運用益も非課税で複利が効くため、長期で見れば非常に大きな差になります。

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選択制DCと社会保険料への影響

このセクションでは、「選択制DC(給与切り下げ型)」の社会保険料への影響と、メリット・リスクの両面を理解できます。

通常の企業型DC(事業主掛金型)では、企業が拠出する掛金は標準報酬月額の算定対象外です。そのため、掛金をいくら増やしても社会保険料は変わりません。この点、「社会保険料も下げられる」というイメージがある方は注意が必要です。

一方で、一部の企業では「選択制DC(給与切り下げ型)」という仕組みを導入しています。これは従業員が月給の一部をDC掛金に「振り替える」制度で、給与として支払われる金額が減るため、標準報酬月額が下がり、結果として社会保険料が削減されます。

選択制DCの節税シミュレーション(月収35万円・東京都・40歳未満)

項目 選択制DC導入前 選択制DC導入後 差額
月収(給与支払額) 350,000円 300,000円 ▲50,000円
標準報酬月額(等級) 360,000円(第22等級) 300,000円(第19等級) ▲60,000円
厚生年金保険料(本人) 32,940円 27,450円 ▲5,490円
健康保険料(本人) 17,964円 14,970円 ▲2,994円
社会保険料合計(月) 50,904円 42,420円 ▲8,484円
社会保険料削減額(年) 約101,808円

※上記はあくまで目安・参考値です。実際の保険料は加入する保険者や料率によって異なります。

年間で約10万円の社会保険料が削減できるのは、一見すると非常に魅力的です。ただし、この節税には重要なトレードオフがあります。

  • 将来の厚生年金受給額が減少する(標準報酬月額が低い期間が続くほど影響大)
  • 病気・ケガで休業した際の傷病手当金の算定基礎が下がる
  • 失業時の雇用保険給付額も減少する

短期的な節税と長期的な給付減少を天秤にかけて、慎重に判断することが大切です。特に将来の年金額への影響は見えにくい分、じっくり試算することをお勧めします。

受取時の税制優遇も見逃せない

このセクションでは、企業型DCを最終的に受け取る際の税制優遇について理解できます。

老後に積み立てた資産を受け取る際にも、大きな税制優遇があります。一時金として受け取る場合は「退職所得控除」が適用され、勤続年数が長いほど控除額が大きくなります。

  • 勤続20年以下:40万円×勤続年数
  • 勤続20年超:800万円+70万円×(勤続年数−20年)

たとえば勤続30年の場合、退職所得控除は800万円+70万円×10年=1,500万円にもなります。企業型DCの積立金がこの範囲内であれば、受取時の税負担がほぼゼロになる可能性があります(他の退職金との合算に注意が必要です)。

また、年金形式で分割受取する場合は「公的年金等控除」が適用されます。受取方法の選択は将来の税負担に直結するため、受取開始前に専門家に相談することをお勧めします。

企業側のメリットも大きい

経営者・人事担当者の方向けに補足すると、企業が拠出する掛金は全額損金算入できます。たとえば従業員100人に月額55,000円ずつ拠出すると、年間6,600万円が損金に。法人税率23.2%で試算すると、年間約1,530万円の法人税節税効果(目安)になります。福利厚生の充実と節税を同時に実現できる制度として、企業にとっても導入メリットは大きいといえます。

まとめ:企業型DCとiDeCoを上手に組み合わせよう

この記事の要点を3点で振り返ります。

  • 企業型DCの掛金は給与課税されない:積立・運用・受取の3段階で税制優遇があり、特に運用益非課税の複利効果は長期で大きな差を生みます。
  • 2022年10月以降はiDeCoとの併用が原則可能:iDeCo月額2万円の追加拠出で年間最大7.2万円の所得控除節税が期待でき、所得税率が高い方ほど効果大です。
  • 選択制DCは社会保険料も下がるが将来の給付減というリスクも:短期の節税メリットと長期の給付減少をしっかりトレードオフで判断することが重要です。

自分の月収・等級で実際にどのくらい節税できるか、ぜひ社保ジャッジの試算ツールで確認してみてください。数字で確認することで、企業型DCとiDeCoをどう組み合わせるべきかが見えてきますよ。

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※上記の計算例・試算はすべて目安・参考値です。実際の保険料・節税額は加入する保険者や料率、個人の収入・控除状況によって異なります。本記事は情報提供を目的としており、税務・法律上のアドバイスではありません。正確な保険料・掛金上限は加入先の保険者または会社の担当部署にご確認ください。

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